【読書】ジャイロスコープ(著・伊坂幸太郎)

小説

仕事中に読みました。

ジャイロスコープ(著・伊坂幸太郎)

【ジャイロスコープ】

回転するコマを三つの輪で支え、自由に向きを変えられるようにした装置。

転じて、軸を同じにしながら各々が意外性に満ちた個性豊かな短編小説を指す。

……ということらしいです。(本分より要約)

 

つまり、短編集ということですが、「チルドレン」や「終末のフール」などのように<同じ世界観で描かれた『短編連作』>ではなく、「フィッシュストーリー」のようにそれぞれが独立した短編集です。

 

率直な感想は「微妙」です。

一応、伊阪幸太郎なので、会話が面白く、キャラクターの魅力はあります。それだけで読めないことはないです。さすがです。

ただ、ストーリーはどれも「オチを放り投げる」感じで締めくくられていて、あまり深く考えて作られてないなあ……と率直に感じます。

新幹線の清掃をする人たちを題材にした『彗星さんたち』(六作目)だけ安心して読めましたが、そこにたどり着く前に何度も壁に本を投げかけました。読み切った僕を誰か褒めて欲しいです。

 

また、ジャイロスコープについて「軸を同じにしながら」とあったので、「もしかして短編ごとに関連性があるのでは?」と考えながら読み進めていた僕ですが、うん、全然関連性なかったです。まったくない。

一応、最後の「後ろの声がうるさい」で関連性を作ってはいますが、完全な後付けです。

「トン汁を作るのになんか失敗したから、ルーを入れてカレーにしました」レベルの。

 

もしかして、デビュー前に書いた小説を集めた短編集なのかな? ……と思いましたが、後ろにまとめられているインタビューを読んで「デビュー十五年目」という文字を発見。

節目にどうしてこんな短編集を作ってしまったのか。

編集者の腹に膝を入れながら問いただしたいです。

 

まったくおすすめできない短編集ですが、「伊阪幸太郎もこんな駄作を書くんだな」としみじみしたい人や「あんな面白い作品ばかり書く伊阪幸太郎でも、こんな糞つまらない短編集出しちゃうんだな。俺も明日から頑張ろう」と元気を出してみたい人はぜひ読んでみてください。

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